John McLaughlin "Extrapolation"

(Polydor 2310 018)
「マハビシュヌ様」になっちゃう前の若いジョン・マクラフリンがとにかくかっこいい。モード・ジャズが一応ベースにはあるんだろうけど、そこにスパニッシュの影響やらインド音楽の影響やらを詰め込んで、やぶれかぶれでハードボイルドな独特の世界を作っている。テクニック的には後年に比べると荒っぽいんだけど、ここでしか聞けないみずみずしさがプレイにあふれている。マイルスの「イン・ア・サイレント・ウエイ」で聞かせてくれたあの異様な殺気は、突然変異で出てきたもんじゃなかったんだ。
 共演のジョン・サーマンは、後にECMレーベルで孤高の世界を築きあげる人。ブリブリと野太いバリトン・サックスでマクラフリンのギターに妖しく絡んでくる。その背景で炸裂するトニー・オクスレイ(この人過小評価だよな)のドラムも、またイイ。
 全体にクールな熱気をはらんだ好盤。「あの巨匠のデビューアルバム」としてじゃなく「60年代ブリティッシュ・ジャズが産んだ名盤」としての一聴をオススメする。