引き続き「おお振り」を読むの記

yazka2005-03-19

 ということで「おおきく振りかぶって」、腐女子な方の間では既にこういう略称が出来ているそうです。そっち方面で人気が出るのも解る気がするなあ。
 ありがたいことに2巻目3巻目も、宿河原駅そばのイリス書店さんにおいてありました。
#大事にしよう近所の書店!
 晴れて新生・西浦高校野球部のエースになった主人公・三橋くんは、相も変わらず何かあるごとにメソタラメソタラしています。そんな彼が、男の私の目から見ても可愛くてたまりません。
 一方、彼を宥め賺してもり立てている、一見策士で自信家タイプのキャッチャー・阿部くんも、実は中学時代、リトルシニアでバッテリーを組んでいたピッチャーとの間にちょっとしたトラウマを抱えていたりします。
 そんな二人とは対照的に、野球を楽しむ事以外何も考えていない、天真爛漫な4番バッター・田島くんはじめ、チームメイトもみんな一癖有りそうですし、そんなチームのキャラクターを掌握して巧みに操縦していく女性監督の「モモカン」こと百枝監督や、野球音痴なのにやたらとメンタルトレーニングだけ詳しい顧問の滋賀先生たち、脇を固めるキャラクターも一人一人面白いです。
 読み返していて思ったのは、掲載誌こそ男性誌の「アフタヌーン」だけれど、この作品は非常に少女漫画、それも乙女チック系の少女漫画の文法で書かれているなあという事。主人公の自分へのコンプレックス、周囲のみんな、とりわけキャッチャーから自分を「選んで」貰えるかなあという不安、でもマウンドに立ちたいという執着とのジレンマとそこからくるいじいじした感情、これはまさに乙女チック系のラブコメ漫画そのものです(「彼となんてお似合いになれないって、私わかってる・・・でも、やっぱりつい目線で彼の事を追いかけちゃう、いつか私の方を振り向いてくれたらなあ、って・・・。」みたいな感じ?)。その辺が男性誌のスポ根系野球漫画はもとより、そのパロディ的な、例えば川原泉の「甲子園の空に笑え」みたいな作品とも全然違うカタルシスにつながっているのでしょう。
 ちなみに野球には普段全然興味のないウチの娘が、何故かこの漫画は涙をぽろぽろとこぼしながら読んでいました。