禁断の酒(?)を飲むの記

 インターネット通販にこんな酒が出ていたので取り寄せてしまいました。

 アブサンといえば、ランボーヴェルレーヌら世紀末の文化人達が愛飲した、ニガヨモギのリキュール。ゴッホの精神錯乱の原因となったとも言われ、幻覚性が強いとして1910年代に製造禁止になっている「禁断の酒」です。
 そんなものが堂々と通販になっているのはしかけがありまして、よく見ると名前の綴りが本来の「Absinthe」ではなく、「h」の抜けた「Absinte」になっています(フランス語ではどっちの綴りでも同じ発音です)。で、その上に「ニガヨモギを使ったリキュール」と但し書きが添えてあります。度数も本来のアブサンが60〜70度だったのにこちらは55度と控えめです。つまり合法版の「安全アブサン」というわけ。
 とはいうものの、フランス象徴派好きの私としては、気分だけでも味わってみたくて、早速注文してみた次第です。
 ちなみに中の酒は奥のグラスのようなきれいな緑色で、これに水を注ぐと手前のグラスのように白濁します。これはシャトリューズとかギリシャのウゾーとかと同じ。

 味は、意外とさわやかで、本来のものとは違うのかも知れませんが、これはこれで楽しめました。
 アブサンが幻覚性を持ったのは、ニガヨモギに「ツヨン」という向精神作用のある成分が含まれるからだと言われます(ただし色々異論有り)。私が注文した「なんちゃってアブサン」はそのツヨン分を押さえて作ってあるもののようです。
 ちなみにアブサンについては、下記のページが詳しくまとめてくれています。
http://www.xiv.com/drink/absinthe/absinthe_doc.html
 ところで、共同通信配信の記事によると、アブサン発祥の地スイスで、つい先頃「毒性や幻覚作用は科学的な根拠がない」としてアブサンが公式に解禁になった由。
http://www.sankei.co.jp/news/050309/kok024.htm
 これを機に、往事の味を本格的に再現したアブサンが堂々と飲めるようになってくれるといいんですがねえ。