渋谷の栄枯盛衰を語るの記
昼頃、珍しく時間の余裕ができたので、少し不足している野菜分を補おうと「サブウェイ」のサンドウィッチを渋谷の職場の近所まで買いに出たら・・・。
あ り ま せ ん。
去年の秋には確かに会った店が、もうなくなっています。お隣のコンビニのスペース拡張で、吸収されたらしいのです。
そういえば、休日出勤の日に、仲間への差し入れをよく買いに行った「ミスター・ドーナッツ」の支店も、
いつの間にかなくなっています。
渋谷界隈の移り変わりの激しさには、いつものことながら戸惑うばかりです。ふと気がつくと、その場所にちょっと前まで何があったのか、もう思い出せなくなっています。まるで、劇場版「機動警察パトレイバー」の松井刑事と後藤隊長の会話を地でいくような話ですね。
そういえば私が就職したての頃は、西武デパートの並びに、古色蒼然たる往年の名曲喫茶が一軒残っていたんだけど、あれもいつか行こうと思っているウチになくなっちゃったんだっけなあ。
それを言い出しちゃうと私なんか、小学生の時に、パルコが建つ前の、まだ「温泉マーク」の旅館しかなかった現スペイン坂界隈の姿も見ているもんなあ。今の渋谷の姿だっていつまで保つのやら。
Steve Winwood "About Time" The Expanded Edition
(Sanctuary SANDD130)
ブリティッシュ・ロック界の「永遠のR&B少年」スティーブ・ウインウッドの、今のところの最新アルバム(2003年発表)。
若い人には、映画「ブルース・ブラザーズ2000」のラストの方でエリック・クラプトンと一緒にゲスト出演していた人、といった方が通るかな?ポール・ウェラーがアイドルにしているアーティストでもあります。
80年代にはシンセサイザーをばりばりに使ってアップ・トゥ・デイトな音でヒットを飛ばしていた(「ホワイル・ユー・シーア・チャンス」とか「青空のヴァレリー」とか)彼ですが、今回のアルバムでは一貫してしてハモンド・オルガンを弾いています。それにブラジル系らしいギタリストとドラマーのトリオ編成。このサウンドが妙に懐古趣味ではなくて、むしろ新鮮で良い感じのサウンドになっています。それになんと言ってもこの人はいつまで経っても声が若々しいです。本当に歌うのが楽しそう。
ちなみに私が買った「エクスパンデッド・エディション」は、ボーナスディスクとして懐かしのトラフィック時代の曲「ディア・ミスターファンタジー」と、アルバムでも取り上げていたティミー・トーマスのカバー「ホワイ・キャント・ウィ・リヴ・トゥゲザー」のライブ、それにジミ・ヘンドリックスの「ヴードゥー・チャイル」(この曲のオリジナルバージョンにはスティーヴィーがオルガンで参加しています)の長尺演奏が入っていて、これもなかなか良い感じ。
Dave Mackay & Vicky Hamilton "Dave Mackay & Vicky Hamilton"
(Celeste CMYK-8213)
このアーティストのことは全く予備知識がなくって、HMV渋谷店のジャズコーナーの惹句につられて購入しました。ピアニスト・ボーカリストで作曲家のデイブ・マッカイ(こう読むらしい)とボーカリストで作詞家のヴィッキー・ハミルトンのデュオが1969年にインパルス・レーベルに吹き込んだデビューアルバムの復刻です。ほとんどの曲が二人の手になるオリジナル。5拍子や7拍子といった変拍子を、決して難しくなく、お洒落に使いこなした曲作りがユニークでイイです。二人のユニゾンのボーカルを中心に、ピアノ、サックス、ベース、ドラムスというシンプルなバッキングで、全編に渡ってボサノバ・テイストの入ったスムースなサウンドを繰り出して行きます。デイブは盲目だし、ヴィッキーはこのレコーディングの二年後に白血病で亡くなってしまうのだけど、そんな暗さはみじんも感じさせない、さわやかでハートウォーミングなボーカルアルバム。愛聴盤になりそうです。二人にはもう一枚吹き込みがあるそうで、是非そちらも復刻をお願いしたいな。
荻原規子「樹上のゆりかご」
(理論社)
古代日本を舞台にした「勾玉」三部作や架空世界が舞台の「西の善き魔女」シリーズなどで知られる日本のファンタジーの第一人者の、これはちょっと珍しい現代物学園ミステリー。ただし私はミステリーの良い読者ではないので、ミステリーとしての出来がどうかは判断しかねます(第一、犯人途中ですぐに解っちゃうし)。
むしろ、作者の主人公としては消極型のヒロインが、元旧制高校で男女比が3対1という男子上位の文化の中で葛藤しながら、自分の立ち位置を見つけていくまでの微妙な心理が描かれている事の方が面白く読めました。この辺「西の善き魔女」の隠れたテーマと通底するものを感じます。
ひょっとしたら作者の荻原さん自身の自伝的な要素のたぶんに濃い作品なのかも知れません。そう言えば主人公の「上田ひろみ」という名前は、以前荻原さんのファンタジー小説「これは王国の鍵」で使われていた名前でした。
吾妻ひでお「失踪日記」
(イーストプレス)
「不条理日記」「やけくそ天使」の漫画家・吾妻ひでおさんが、スランプに陥ってホームレス生活を送ったり、その後アルコール中毒になって入院したり、と言った顛末を赤裸々につづったエッセイマンガ。
#そういえばこの直前位の吾妻さんの漫画はやたら暗かったな・・・。
ところがこれが無類に面白い。巻末の対談でとりみきさんが指摘しているとおり、吾妻さん本人が自分の体験を妙に私小説化せずに、対象化・客観化して書いてくれているせいでしょう。野鳥用の罠の餌を盗み食いし、腐ったリンゴの発酵熱で手を暖めて生き抜く吾妻さんの姿がたくましい。そういえばバブル真っ盛りの頃、カミさんと「将来は二人で新宿西口でホームレスして余生を過ごそうな」と誓い合ったのを思い出します。
追記:浮浪生活をしていた吾妻さんが不審尋問を受けて警察署に連れて行かれところ、吾妻ファンの刑事がいて、色紙にサインをねだられた、というエピソードには笑ってしまいました。
乱聴乱読の記
陽気がよくなってきたせいか、本の背表紙を眺めただけでウキウキする、あの感覚が戻ってきました。ということは、また本に散財して、狭い我が家を狭くすることでもあるんですが・・・。
電車の中で本がすいすい読めます。一時的なものかもしれないけれど、大分鬱から復調してきた証拠。
とりあえず、読んだり聞いたりしたものの感想。
物欲に走るの記
先週末はまた例によって仕事がはねてからタワーレコード、HMVのハシゴ。
今回は仕事の鬱屈が色々たまっていたのやらあとで自分でもあきれるほど色々買い込んできました。
いずれ詳しく紹介するとしてそのリスト
Ensenble Unicorn, Ensenble Oni Wytars "Carmina Burana" (Naxos 8-554837)
Ensenble Unicorn "The Black Madonna" (Naxos 8-554256)
Sir Lord Baltimore "Kingdom Come/Sir lord Baltimore" (Mercury 314 522 241-2)
Ashkan "In from The Cold" (Decca Nova UICY-9513)
Becket "(same)" (Raft RA48502)
Steve Winwood "About Time" The Expanded Editon (Sanctuary SANDD130)
Dave MacKay & Vivky Hamilton "(same)" (Celeste CMYK-6213)
Joe South "Classic Masters" (Capital 72435-37469-2-A)
小林旭「コンプリート・シングルスVol.1」(コロンビア COCP33069-70)
同 「 同 Vol.2」( 同 COCP33071-72)
あと、DVDで
Various Artisits "The Old Grey Whistle Test" (BBC IDP00978)
この週末はどこへも出かけず、こんなん聴きながらのべーっとしてました。